「男のくせに泣くな!」
小さい頃、男性なら一度は言われたことがある言葉かも知れません。
生まれた時から強くあることを期待され、
「上下関係の中で勝たねばならない」「稼がねばならない」・・・
そんなふうに自分を追いつめていませんか?

社会には男性の心とからだを蝕む、
たくさんの目には見えない「~ねばならない」プレッシャーが潜んでいます。
そんな中でストレスを溜めこんで鬱になってしまったり、自殺を考えたり、
感情が爆発して人への暴力に向かってしまったり・・・。

男性だって泣いてもいいんです。
泣くことはストレス解消につながります。
涙と共に溜まったストレスをデトックスして、明日への活力につなげましょう。

「みなさん、最近、いつ泣きましたか。」と講師が尋ねる。

4、50代の男性15人が、一同に介して、口々に言う。
「昨日観たドラマで、、、」
「この間、オリンピックで選手が金メダルを取った姿をみて、、、」
「三年前だったかな、運動会でうちの子が一等をとって、、、」
「いつ泣いたのか記憶にない、、、」

吹田市主催で、男女共同参画センターで「スッキリ爽快イケメソデトックス法!」と題して、男性の参加者だけを集めて行われたこの講座は、
涙活(るいかつ)と呼ばれる、最近、新聞、雑誌、テレビ等でよく取り上げられているストレス解消法を扱う。

講師は、ジャージに赤ふちのメガネがトレードマークのなみだ先生こと、
感涙療法士の吉田英史先生。

参加者の最近の泣いたエピソードを聞き出して、
ホワイトボードに、ドラマ、オリンピック、と書き出していく。
「オリンピック、泣けますよね~。」と参加者の泣き体験に相槌を打っていく。
参加者が発言しやすいようにアイスブレイクとして、
毎回、講座のあたまに、参加者それぞれの最近の“泣き状況”を聞くようだ。

そしていよいよ本編が始まる。
まずは、動画を鑑賞して涙活(るいかつ)を行う。
涙活とは、能動的に泣いてストレスを発散する取り組みをいう。

人目をはばからず、目をぬぐう男性たち。

次の涙活手段は、“なみだ作文”という泣ける話を創作するワークショップである。
実話でも、創作でもよいという条件のもと、参加者のみなさんに感動する話を書いてもらう。

そして、話を書くだけでなく、発表もしてもらう。

発表者の話に、みな、目をうるわす。

「泣いている方、多いですね。みなさん、今、どんな気持ちですか。こころなしか、すっきりしませんか。」
と吉田先生。

ここで、泣きの効用についての講義が始まる。

「人間は涙を流すと、自律神経が、緊張や興奮を促す交感神経が優位な状態から、安静、リラックスした状態である副交感神経が優位な状態に切り替わります。交感神経とは、身体を動かしたり、緊張しているときに働く神経で、副交感神経とは、寝ているときや体力を回復するときに働く神経です。私たちはふだん起きているときには交感神経が活発に働いているのですが、泣くとリラックスしているときとおなじ副交感神経が優位な状態になるのです。涙活は、この仕組みを利用したストレス解消法なのです。2,3秒だけでも、涙が流れれば、その効果が発揮されます。」

泣いてすっきりした体験をしたあとだからこそ、ここでレクチャータイムを入れるのが効果的だという。

続いて、泣き言セラピーというワークショップが始まる。

「こちらの涙レターという涙の形をした用紙に、泣き言(たまっているもの)を吐き出してもらい(書き出してもらい)、それを涙千箱に入れてもらいます。ここでいう泣き言というのは、みなさんの抱えているストレスです。」

次々に涙レターを涙千箱というお賽銭箱のようなものに入れていく。

その後、吉田先生が、一つ一つ、泣き言を読み上げていく。

「泣き言セラピーの意味合いですが、モヤモヤとした感情(ストレス)を言葉にすることで、一つは、そのモヤモヤが整理されます。また、書き出すことで、“あー、私は、今、こんなことで、疲れてるんだなあ、悩んでいるんだなあ、しんどいんだなあ”等々、自己を対象化することができます。自分の見方・感じ方は、普通の状態では振り返る機会がありません。それを、いわば自分から切り離してとらえなおし、見つめなおすことが、対象化するということです。そうすることで、意識しなかった自分の見方・考え方の癖に気づいたり、自分を縛っている考え方の枠組みに気づいたりすることになり、今までと違う見方・考え方をするきっかけにもなります。」

「最後に、匿名で記入された泣き言を読み上げますが、みなさんの前で読むことで、“あー、私以外にも、同じストレスを持っている人がいるんだぁ。”“みんな必死な思いをで生きているんだなあ”と、感じてもらい、それが一つの癒しの効果につながると考えています。」と吉田先生。

職場で人間関係がうまくいかない、親の介護で苦しい、生きる希望がない等々、読まれるたびに、それを聞いている周りの人たちは深くうなづく。

そしてイベントの最後は、涙友タイムという時間が設けられる。交流時間である。

「類は友を呼ぶという諺の、類(るい)を涙(るい)と、もじって、涙は友を呼ぶ。同じ場所で、泣きの体験を共有した人同士で、交流してもらいます。映像を見て、どういうところで泣けたのか、なぜ泣いたのか、あるいは泣けなかったのかなど、みなさんと意見交換していきます。涙活映像は、家族愛や人間の生死をテーマにしたものも多く、人間の持つ強さや優しさ、温かさとは何かを問うものでもあります。どの映像も考えさせられるものばかりで、その映像が、何か今の自分のあり方(ストレスを抱えて苦しいと考えてしまう自分の在り様)を考えさせる契機になりえたり、意外な気づき(何か生きやすくなる人生のヒント等)を得ることにつながるかもしれません。涙友と話すと、”あー、この人は、こういうところで泣いたんだあ。”なるほどー、そこで泣いたのはそんな理由があったんだあ”“えっ、この人はそんなところで泣いたの!なんで??”と思うこともあるでしょう。涙友と話すことで自分を相対化する、つまり、固定観念を捨て、色々な物事を、あくまで選択肢の一つとして考えられるようになることにつながるのです。涙友タイムには人を多様に触発させるパワーがあると考えています。」

涙活イベント、奥が深い。

イベントは月に、一、二回、主に都内で行われているそう。
みなさんもお時間あるときに、参加されてみてはいかがでしょうか。

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